鴨川シーワールドで感じた人の幸せとは・・・
2025-03-05
第44回
先日に続きほっと・館 花 仁木が執筆いたします。
2月にほっと・館 花では3回目の宿泊旅行を実施し、今回はマザー牧場と鴨川シーワールドに利用者3名スタッフ2名で行ってきました。
今回は天候に恵まれた2日間でした。アクアラインからの景色も良好で、道中渋滞に巻き込まれることもほとんどなく、あっという間にマザー牧場到着。
マザー牧場では園内を散歩しながらレストランに移動して、昼食にジンギスカンをいただく。テーブルにセットされたコンロにジンギスカン鍋があり、肉と野菜がセットされたキットを鍋で焼くだけで、手軽に楽しむことが出来ました。
利用者の3名は加熱された熱い鍋には近づきたがらなかったのですが、2名分のセットx3を5名で完食。
ドンドン食べてドリンクもおかわりを繰り返す方がいる一方、食事のペースがゆっくりで、食べる事よりみんなと一緒にいることを楽しんでいる方など、食事の場面からもそれぞれのらしさを見届けることが出来ました。
食後はすぐ近くのアグロドームで、園内で飼育している動物の紹介があり、羊の毛刈りショーと続きました。
羊の毛刈りの後は、羊との触れ合いの時間があったのですが、動物との触れ合いに積極的な方や、一生懸命動物に話しかけ続ける方がいる一方、「手を汚したくない!」と触れる事そのものに消極的な方がいて、ここでもそれぞれのらしさを見届ける事ができました。
その後は今回の宿泊先である鴨川シーワールドホテルへ。
部屋で少しくつろいでから大浴場へ。大浴場というほど大きくはなかったのですが天然温泉でいい湯でした。一部介助が必要との方もいましたが声掛けで洗体できており、思い思いに温泉を楽しんでいました。
お風呂の後は食堂へ。ビュッフェ形式での提供となりました。ビュッフェに慣れていないのか取り分けに迷っている方がいる方もいましたが、それぞれのペースで食事を楽しんでいました。
その中で40センチ四方の取り皿に鶏唐揚げなど揚げ物をめいいっぱいに盛り付けて召し上がっている方が!この方揚げ物が大好きでいつも鶏のから揚げを希望されることが多いのですが、手羽先がある事を知るとさらに取り皿いっぱいにおかわりして完食!その後デザートも皿いっぱいに盛り付けて召し上がっていました。
デザートを皿一杯に盛り付けている時の彼の表情はは満面の笑みが!
幸せが全身からあふれていました。
この瞬間、この度の中でも特に印象的な出来事でした。
この方について事前にご家族にヒアリングして食事量への制限はしなくて良いとのことだったのですが、実は痛風と糖尿病の傾向のある方なので、内心ひやひやではありました。
食後にはこのホテルの特典である「夜の水族館見学ツアー」があり、オットセイやアザラシ、シャチなど飼育している動物たちを静かな水族館で見学することが出来ました。
翌日も朝食はビュッフェ形式。前日同様皿一杯に盛り付けて召し上がる方や、自分の好きなソーセージばかり取る方などそれぞれのペースで朝食を楽しむ。
食後はチェックアウトして水族館へ。シロイルカのショー、イルカのショー、シャチのショーを楽しむ。
ショーのあとはお土産を購入となったのですが、お買い物大好きな方がいてショーの途中から買い物のアピールをしていました。
お土産購入後は木更津に移動して個人経営のラーメン店で昼食をとる。
この地域では勝浦タンタンメンが有名なのですが、今回はタンタンメンではなく塩ラーメン、しょう油ラーメンをいただく。
熱いラーメンが苦手な方が多いのですが、店主の目の前でラーメンにコップの水を入れて冷やそうとする方がいたり、取り皿に麺を移さないと食べようとしなかったり、ラーメン一つをとってもそれぞれのらしさが表れていました。
昼食もとり疲れ切った利用者の3名はほっと・館 花への帰路はよく眠っていました。
今回も事故なく終えられ、安心したのですが、様々な人の幸せを感じる瞬間を見届けられた旅でもありました。
食事を楽しむと事に純粋に幸せを感じる人。買い物をすることに幸せを感じる人。動物や人との触れ合いに幸せを感じる人など。
こうした小さな幸せをこれからも重ねて欲しいと思うその一方で、加齢による衰えや疾患が見え隠れしている部分もあり、10年後同じ幸せを経験できるのかと不安にも感じていました。
彼らの小さな幸せをより永く見届けたいと思った鴨川の旅でした。
【仁木 謙一郎】

